オンタリオ州政府 - 15%非居住者投機税導入

4月20日オンタリオ州政府は価格上昇率33%と歯止めの利かない不動産市場の鎮静化を目的に16項目に及ぶ対策を発表、翌日施行という荒業にでました。目玉となるのは非居住者の投機目的の購入時に15%の税を課すこと。これは昨年8月にバンクーバーに導入された相応の効果を発揮した15%Foreign Ownership Taxに似たものですが、今後4年以内にオンタリオ州にて移民権・市民権を取得する人、2年間以上の就学者、過去にオンタリオ州にて労働した事実を証明できる人等には還付措置がとられるような違いがあります。

バブルを彷彿とさせる原因についての明確なデータがないため、非居住者に対しての対策がどれほどの効果をもたらすものか疑問の余地があり、また過去29年間でもっともオンタリオ州の人口増加が多いと言われているようにそもそもの要因は需給の不均衡にあるため今後数か月注視していく必要があるでしょう。

これ以外にも空き家に対する課税や、1991年以降に建てられた賃貸用不動産は例外であったRent control等の対策も盛り込まれています。

ここで指摘したいのは昨年のバンクーバーでの税導入から、一時的に販売が落ち込み、その後トロントの値上がりが加速した事実です。今回の税導入が不動産需要を他都市に散らす効果を持つと考えることもでき、現在在庫の減り続けるアルバータ不動産市場は次のターゲットとなりえるやもしれません。

2017年3月 カルガリー不動産市況

3月のカルガリー不動産統計によると、カルガリー全体の戸建て部門では新規売り物件が少なく、長期的な平均販売量にたいしてはまだ10%及ばないものの、前年比では改善しているとのことです。

第一四半期のベンチマークでみると、カルガリーのNW、WestおよびEastにおいては前年比で上昇しており特にNWエリアは売り物件数が非常に少なく、3月の販売対在庫数は1:1.63と売り手市場になっています。(1:3程度が需給バランスのとれたマーケット)

これに対しアパートメント部門は未だ売り在庫が多く、販売対在庫数で1:6.14と回復が遅れているようです。

全てのエリア・全ての部門で見れば、長期的な販売量にたいして8%下回るものの前年同月比では20%増の1,906戸を記録し回復傾向を示しています。

 

カルガリー不動産協会3月不動産統計

2017年カルガリー不動産市場 – 市場動向シミュレーションと考察

長引くオイル不況もここにきて僅かながらにカルガリーの失業率が10%の大台を下回るニュースを聞くにいたりました。経済全般の回復にはまだまだ長いスローな回復過程があることと思いますが、年明けからのカルガリー不動産市場・戸建て物件部門に関しては特定の価格帯や地域等を慎重に見極める必要があるものの改善が見られます。

2017年度の不動産戸建て市場は年初から夏場にかけて需給バランスの逆転が起こり、主要価格・主要エリアの物件を筆頭に価格面で改善が期待されるものとみられます。

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2017年1月 カルガリー不動産市況

カルガリー不動産協会によると一月のカルガリー不動産市場は4か月連続で在庫が減少し月末在庫が4,112戸、前年同月比で18パーセントの減少となりました。

CREBチーフエコノミストAnn-Marie Lurieは在庫の減少により需給バランスに改善がみられるものの、忘れてはいけないこととして比較対象としている昨年度の不動産市況は過去の最も低調であった年の一つであり、ここ数か月の大きな改善への変化にかかわらず本格的な改善はまだまだ時間のかかるスローなプロセスになるとコメントを残しています。

全販売戸数では前年同月比24パーセント増、しかしながら10年平均値比ではまだ21パーセント及ばず、あくまでも前年比でのことです。

不動産スタイル別では戸建て物件が好調で需給バランスの整った市場の目安である在庫対販売比率が3.2か月分となっています。

カルガリー不動産市場全体のベンチマークプライスは$437,400で前月比0.16パーセント減、前年同月比では2.82パーセント減。直近の高値であった2014年との比較では戸建て物件で4.9パーセント減、アパートメントスタイルのコンドミニアムでは11.5パーセント減となっています。

12月バンクーバー不動産市場前年比約40%ダウン...

Real Estate Board of Greater Vancouver(バンクーバー不動産協会)によると、バンクーバーエリアの不動産市場は前年同月比で2016年12月は平均不動産価格こそ17.8%もの上昇を記録し$897,600となったものの、不動産販売量の点では39.4%もの減少を記録しました。

部門別では戸建て物件での販売減が52.4%と突出しています。平均戸建て価格は$1,483,500で前月11月より1.8%のスローダウンでした。

全ての部門での月末売り在庫数は前年同月比で5.3%増と増えたものの12月に新規に売りだされた物件数は35.1%減となっていて積極的な売りの圧力は見られていません。

もっと解説―Broker’s VIEW

 

2016年11月 カルガリー不動産市況

11月のカルガリー不動産市場は、10月に施行されたCMHCによる新しいモーゲージルールの駆け込み需要の反動をうけ全体の販売数で1227戸、パーセンテージでは3%減となりました。

戸建て物件のベンチマークプライスが2014年以来となる$500,000を下回ることとなりましたが集合住宅部門に比べ底堅いといったところでしょう。年初来11月末日までの比較統計では前年に比べ80万ドル以上の物件が軒並み好調を示しましたが(リンクの統計10ページ下部参照)これは過去2年間の下落幅の大きかった価格帯に値ごろ感があると見込んだ買いが入ったのが原因と思われます。

アパートメントスタイルの集合住宅部門は売り在庫が増え供給過多の傾向が一層強まった感がありしばらくは調整に時間がかかると思われます。(統計12~13ページ参照)

November_2016_Monthly_Housing_Statistics

カナダ住宅ローン(モーゲージ)のルール変更

カナダ財務省より発表から数週間単位の非常に短い猶予期間しか与えられなかった新しいモーゲージ(住宅ローン)のルールが10月17日より施行されることとなりました。

頭金20%未満で融資を受ける住宅ローンをHigh Ratio Mortgageと呼びますが、この審査基準に利用される金利が今までは一般的に提供されるDiscount Rate(現在は約2.6%程度、金融機関による)を用いて融資限度額が算出されましたが本日以降はカナダ中央銀行の設定する政策金利(現在4.6%)を用いる、結果として融資限度額が最大20%以上下回ることとなり全国的に不動産取引を抑制するそれなりのインパクトがあることが予想されます。

Background

原油価格の暴落は震源地であるアルバータ州では景気・不動産市場の低迷を招きましたが、その副産物であるカナダドル安の恩恵を受けたバンクーバーやトロント不動産市場では前年比20%以上の不動産価格上昇を見るほど過熱しました。安いカナダドルを背景に海外からの投資マネーが流入したことが原因ですがそれらの都市の在住者の購入能力を奪い将来の価格調整に不安を残すところとなりました。これを是正すべく打ち上げられた緊急対策ですがすでに低迷しているアルバータ州を顧みない政策です。

疑問点

急遽導入されたこの政策は金融機関で議論がなされている段階で、当初High Ratio Mortgageのみに適用されると解釈されがちでしたが頭金20%以上の住宅ローン(Conventional Mortgage)にも適用される可能性がある含みを持ちます。大手金融機関は今後態度を表明することとなりますがその内容次第に於いては想定よりも多くの不動産購入希望者の購入能力を削ぐことにもなりかねず、引き続き注視する必要があります。

現状

10月ここまでのアルバータ不動産市場は戸建て部門の販売は前年度を10%以上上回る結果を示していますが少なからず駆け込み需要があることが否めずこの政策の影響を図ることは難しいと言わざるを得ません。17日までに融資の確約を得た不動産売買契約が大方片つくまでの年内いっぱいまではその影響力を正確に反映したデータは出てこないものと思われます。

アパートメントスタイルの集合住宅部門は理想とされる3か月分の在庫量を大幅に上回る6か月分となっており未だ新築物件の生産調整がついていないことから短期的な回復は見通しが立たない状況にあります。

 

今回の政策はアルバータの不動産市場には低迷に追い打ちを掛ける感が否めませんが、まだまだ議論がなされていないこともあり例外規定が出てくる可能性も無きにしもあらずです。判断材料に乏しい事もありしばらくは政策の行方を注視する必要があります。

 

 

 

2016年9月 カルガリー不動産市況

 二年に渡る原油価格低迷のあおりを受けていたカルガリー不動産市場に変化の兆しが見えてきたかもしれない。10月3日付けのCalgary Real Estate Board(CREB)発表の9月不動産統計には戸建て住宅部門でのちょっとしたニュースが取り上げられています。
全体としては戸建て部門を含め特にアパートメントスタイルの集合住宅において前年同月比で不動産価格が下落しているものの、実需のある40万ドル~50万ドル位を中心とした戸建て物件は地域によっては買い手がすぐに見つかるケースもちらほらと見受けられます。戸建て部門の販売件数が前年比でプラスに転じたことは少なからず戸建て住宅部門が安定してきたことを示すでしょう。

在庫
前年比・前月比といたパーセンテージを使った話をすると長く低迷していたカルガリー不動産市場にとっては朗報となりますが、ここで特筆したいのは販売件数自体は実はたいした伸びではないということです。昨年9月の戸建て販売数が市全体で906件だったものが945件に増えただけですから。むしろ今回戸建て物件が安定しているのはこの経済情勢のなかで思いのほか売りが出ていないことに注目すべきでしょう。2016年年初から9月末までの統計比較では今年の新規戸建て売り物件総数は過去10年で最低であるといえばわかりやすいかもしれませんね。新築物件の生産調整が少なからず影響しているとはいえ失業率の増加がまだ止まりそうにない現状からするとカルガリーのホームオーナーはよく耐えているといえるでしょうね。